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骨もアンチエイジング |
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屋内が7割、着膨れ注意
骨粗しょう症予防 ビタミンKも重要 |
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高齢者の骨折が増えている。特に、脚の付け根が折れる「大腿骨近位部骨折」は脳卒中とともに、寝たきりの主な原因となっている。これからの寒い時期は骨折が多くなるため、注意が必要だ。
大腿骨近位部骨折は以前、「大腿骨頸部骨折」と呼ばれた。しかし科学的にあいまいだったため、日本整形外科学会は2年前に呼び名を変えた。
厚生労働省研究班(主任研究者=折茂肇・健康化学大学長)が11月に発表した推計によると、2007年の発生患者は全国で14万8千人。これは02年に比べると3万人多く、97年よりも5万人余り多い。全体の8割は女性だ。
日本整形外科学会の全国調査によると、発生率は50歳以下ではごく少なく、60歳以上で徐々に上昇する。5歳刻みの年齢別でみると、80−84歳が最も多い。原因はつまずくなど「立った高さからの転倒」が7割。発生場所は7割近くが屋内で、全体の94%が手術を受けた。 |
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▽ 手すり付け対策 |
月別では12月から2月の発生が目立つ。調査をまとめた萩野浩・鳥取大教授によると、着膨れして転びやすいことや、血中のビタミンDが低下し骨や筋力が弱くなることが原因とみられる。
骨折を防ぐには、主な原因となる骨粗しょう症の予防や治療のほか、筋力やバランス感覚を養う運動療法、階段やトイレに手すりを付けるなどの対策も有効だ。
厚労省研究班の07年の調査では、男性の60代、女性の60代と70代の発生率がいずれも過去20年で最も低く、ビスフォスフォネート製剤など新たな治療薬の影響だとする見方もある。
骨粗しょう症予防の三原則は食事と運動、日光浴。骨を強くする栄養素としてはカルシウム、マグネシウム、ビタミンDがよく知られているが、忘れられがちなのがビタミンKだ。 |
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▽ 納豆消費量関係か |
大腿骨近位部骨折の発生率は西日本で高く、東日本で低い。その地域差にはビタミンKを多く含む納豆の消費量が影響している可能性がある−。岩手医大の坂田清美教授らの研究チームは今年、そんな論文を発表した。
ビタミンKはビタミンDとともに骨の形成を促す。チームは全国を12地域に分け、国民栄養調査で分かった栄養素の摂取量と、骨折の発生率との関係を分析した。
その結果、ビタミンDやマグネシウムよりもビタミンKが骨折に最も強く関係しており、摂取量の多い地域ほど発生率が低いことが分かった。
ビタミンKはホウレンソウなどの野菜に多く含まれるが、野菜の摂取量に目立った地域差はなかった。そこで総務省の家計調査を調べたところ、ビタミンKの豊富な納豆の消費量の地域差が、骨折発生率の地域差とよく合うことが分かった。
チームの八重樫由美・岩手医大助教は「骨折発生率の低い東北や関東のビタミンK摂取量を考えると、1日300マイグラクロムで予防に役立つ可能性がある」と話している。 |