骨は年齢とともに誰でも弱くなるが、高齢になっても骨粗鬆症のレベルまで骨量が減らなければ、骨折のリスクは避けられる。
「ただ、20歳を過ぎてから骨量を増やすのは難しい」と山陰労災病院(鳥取県米子市)の岸本英彰・整形外科部長はいう。
骨の成長にはホルモンが関係するが、物理的に力が加わったときのひずみやしなり具合が刺激になって新陳代謝が活発になる性質もある。年を重ねるごとに骨は硬く、しなりにくくなるため、代謝も上がりにくくなるのだ。
骨量のピークは、女性は初経後の数年、10代の前半から半ばにかけて。男性は20歳くらいまでの間だ。この時期に栄養をとるとともに、しっかり運動して、骨量のピークをできるだけ高い水準に上げておくことが、将来の自然な減りに備える「貯金」になる。
女子栄養大学の上西一弘教授(栄養学)らが、全国規模で骨量と生活習慣との関連を調べた研究では、20、30代の女性で、同世代の平均値の85%以下しか骨量がなかった人は、小・中学生のときも現在も、運動をしていない傾向があった。
「思春期はもちろん、生涯にわたって運動を続けていくことが、骨には大切です」と上西さんはいう。
調査では「やせで小柄」ということも、骨量が低い人の共通項だった。体重が軽いと、それだけで重い人に比べて骨にかかる刺激が少ない。
上西さんは「体重が軽いことや極端な減量は、骨の健康にはリスクになります。無理なダイエットを避けるのはもちろんですが、小柄でやせぎみな女性は若いうちに骨量を測って、ライフスタイルを考えるきっかけにして欲しい」と指摘する。
若いうちの運動としては、足を強く踏み込んだり、重力に逆らってジャンプしたりする、球技や柔道などの競技が、骨密度を高める効果がより大きいという。
中高年は無理に激しい陸上運動をすることはない。じわっと汗をかく程度のウォーキングでも十分、骨量を保つ上での助けになる。長く続けていくことが大切だ。 |